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宅地建物取引業の目的 (宅建業法1条)
「この法律は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、
その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営
と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、
宅地建物取引業の健全な発展を促進し、
もって購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化
とを図ることを目的とする」 (宅建業法1条)
宅地建物取引業・宅地建物取引業者
■宅地建物取引業とは、宅地または建物について、次に掲げる行為を
業として行うものをいいます。(宅建業法2条2号)
① 売買または交換
② 売買、交換または貸借の代理または媒介
・①の行為は、自ら契約の当事者になることですが、ここでは「貸借」が
含まれていません。したがって、アパートを経営する場合のように
自己の所有する物件を貸借することは宅地建物取引業に該当せず、
免許は不要ということになります。
・また、「業として行う」とは、不特定多数人に対して反復継続して
行うことであり、社会通念上事業の遂行とみることができる程度のものを
いいます。
・宅地建物取引業を「業として行う」者を宅地建物取引業者といいます。
宅地建物取引業における免許制度について
■(1)免許の種類
宅地建物取引業を営もうとする者は個人・法人を問わず、
免許を受けなければいけません。
この免許には2種類あります。
(a)都道府県知事免許
宅建業を営もうとする者が、一つの都道府県の区域内だけに事務所を
設置して宅建業を営もうとする場合は、都道府県知事の免許を受けな
ければならない。(宅建業法3条1項)
(b)国土交通大臣免許
宅建業を営もうとする者が、二つ以上の都道府県の区域内に事務所を
設置して宅建業を営もうとする場合は、国土交通大臣の免許を受けな
ければならない。(宅建業法3条1項)
■(2)免許の申請手続き
免許の申請は、商号・名称、事務所の名称・所在地等の一定の事項を
記載した免許申請書に、業の経歴書、誓約書等の書類を添付して
免許権者に提出して行います。(宅建業法4条)
なお、国土交通大臣免許の申請の場合は、主たる事務所の所在地を
管轄する都道府県知事を経由して申請書類を提出することに
なっています。(宅建業法78条の3)
■(3)免許の基準
免許権者は、免許申請者が宅建業法が定める欠格要件に該当するとき
あるいは免許申請書やその添付書類の重要事項について記載が欠けて
いたり、虚偽の記載がある場合には、免許をしてはならないものとされて
います。(宅建業法5条1項)
具体的には、以下の者は免許を受けることができません。
●成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者(業法5条1項1号)
●過去宅建業を営み、一定の免許取り消し処分を受けた(処分の対象と
なった)個人・法人(2号)
●過去宅建業を営み、一定の免許取り消し処分を受けた(処分の対象と
なった)法人の役員(2号)
●禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受ける
ことがなくなった日から5年を経過しない者(3号)
●宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反
したことにより、又は刑法204条(傷害罪)、206条(現場助勢罪)、
208条(暴行罪)、208条の3(凶器準備集合罪)、222条(脅迫罪)、
247条(背任罪)の罪及び暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯した
ことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行
を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(3号)
●免許の申請前5年以内に宅建業に関し不正又は著しく不当な行為を
した者(4号)
●宅建業に関し、不正又は不誠実な行為をするおそれが
明らかな者(5号)
●営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その
法定代理人が一定の基準を満たしていない場合(6号)
●法人が申請する場合、その役員または政令で定める使用人のうちに、
一定の基準を満たしていない者がいる場合(7号)
●個人が申請する場合、政令で定める使用人のうちに、一定の基準を
満たしていない者がいる場合(8号)
●申請者が設置した事務所ごとに、業務に従事する者の数5人に1人
以上の割合で、成年者である専任の取引主任者を置かなければなら
ない。これに反して置かない者(9号)
■(4)免許の有効期間
都道府県知事免許・国土交通大臣免許ともに有効期間は5年です。
そして、免許の更新を受ける場合には有効期間の満了の日の90日前
から30日前までの間に更新の申請書を提出しなければいけません。
(宅建業法3条3項)
■(5)免許換え
宅建業者が事務所を増減させたり、移転させたりすることで、当初受けた
免許の種別と現状とが合わなくなることがあります。
このような場合に新たに免許を受けなおす手続きのことを「免許換え」
といいます。
(a)免許換えが必要なケースは3通りあります。
①A知事免許を受けた者が、その都道府県内の事務所を廃止し、
他のB都道府県内にのみ事務所を設置した場合
→ A都道府県知事免許から、B都道府県知事免許へ
②都道府県知事免許を受けた者が、事務所を他の都道府県の区域内にも
設置した場合
→ 都道府県知事免許から、国土交通大臣免許へ
③国土交通大臣免許を受けた者が、事務所を一つの都道府県の区域内
のみにした場合
→ 国土交通大臣免許から、その都道府県知事免許へ
(b)免許換えの手続き
・都道府県知事免許に免許換えする場合には、都道府県知事に
対して直接申請手続きをする(宅建業法3条1項、4条1項、7条1項)
・国土交通大臣免許に免許換えする場合には、主たる事務所の所在地を
管轄する都道府県知事を経由して、国土交通大臣に申請する
(宅建業法3条1項、4条1項、7条1項、78条の3第1項)
(c)免許換えの効力
免許換えによって新たな免許を取得した時には、それまでの免許は
失効します。
そして、免許換えによって取得した免許の有効期間は5年となります。
(宅建業法7条1項)
(d)免許証の記載事項に変更が生じたとき
免許証の記載事項に変更が生じたときは、その免許証を添え、宅建業者
名簿の変更の届け出と併せて、免許権者に対して、
免許証の書換え交付申請をしなければいけません。
罰則について
宅建業法には、様々な罰則が規定されていますが、その中で最も重いものは
以下の行為を行った場合です。
1.不正の手段によって免許を受けた者
2.無免許で宅建業を営んだ者
3.名義貸しの禁止規定に違反して他人に宅建業を営ませた者
4.業務停止処分に違反して業務を営んだ者
営業保証金制度について
■営業保証金の供託
宅地建物取引業者は、その業務開始にあたって営業保証金を供託
しなければいけません。(宅建業法25条1項)
供託額は、主たる事務所が1000万円で、その他の事務所が
事務所ごとに500万円となります。(宅建業法25条2項)
供託の方法は、①金銭によるもの
②国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める
有価証券によるもの③金銭と有価証券によるもの
これら3つの方法があります。(宅建業法25条3項)
供託場所は、主たる事務所の最寄りの供託所となります。
供託時期は、事業の開始前となります。
すなわち、「宅建業者は、営業保証金を供託したときは、供託書の写しを
添付して、その旨を免許権者に届け出なければならず、
その届け出をした後でなければ、事業を開始してはならない」
(宅建業法25条4項・5項)と規定されています。
弁済業務保証金制度について
■弁済業務保証金制度とは
前述の営業保証金は最低でも1000万円が必要となり、宅建業者にとって
負担が大きいというデメリットがあります。
この営業保証金に比べると非常に少額で宅建業を開始することが
できるというメリットを有しているのが、弁済業務保証金制度です。
この制度の概要としては、宅建業者が、宅地建物取引業保証協会に加入し、
社員となる際に一定の拠出金(弁済業務保証金分担金)を負担し、
宅地建物取引業保証協会が、社員である宅建業者から集めた分担金を
供託所に供託するというものです。
■弁済業務保証金分担金の納付について
宅建業者は、保証協会に加入しようとする日までに、
弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければいけません。
(宅建業法64条の9第1項1号)
分担金として納付する額は、主たる事務所については60万円、
従たる事務所については、事務所ごとに30万円となります。
(宅建業法64条の9第1項)
分担金は、金銭で納付しなければならず、有価証券のみ又は
有価証券を併用することはできません。
社員である宅建業者から弁済業務保証金分担金の納付を受けた保証協会
は、その日から1週間以内に、その納付額に相当する額の弁済業務保証金
を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に供託しなければいけません。
(宅建業法64条の7第1項)
■宅地建物取引業保証協会について
宅地建物取引業保証協会とは、国土交通大臣が指定した社団法人であり、
弁済業務・苦情解決業務・研修業務・一般的保証業務などを行います。
宅地建物取引業保証協会は現在、全国宅地建物取引業保証協会
と不動産保証協会の2種類があります。
事務所について
■事務所とは
宅建業を開始するにあたっては、必ず事務所を設置しなければいけません。
宅建業法における事務所とは、
①本店(主たる事務所)または支店(従たる事務所)
②継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅建業に係る
契約を締結する権限を有する使用人を置くもの
のいずれかに該当する場所をいいます。(宅建業法施行令1条の2)
本店(主たる事務所)は、宅建業を実際に営むか否かに関わらず、
その支店が宅建業を営んでいれば、宅建業法上常に事務所として扱われ
ます。
これに対して、支店(従たる事務所)が宅建業法上事務所となるには、
宅建業を実際に営んでいることが必要となります。
■事務所の規制
宅建業法上、事務所に義務付けられているものがいくつかあります。
①「取引主任者」の設置
事務所には、成年者である専任の取引主任者を設置することが
義務付けられています。(宅建業法15条1項)
さらに、その設置の割合は、従業者5人に1人以上であることが
要求されています。(施行規則6条の3)
②「帳簿」の備付け
宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、
宅建業に関し取引のあったつど、必要な事項を記載しなければならない。
(宅建業法49条)
なお宅建業者は、この帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖するものとし、
閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければいけません。
③「従業者名簿」の備付け
宅建業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、必要な事項を
記載しなければならない。(宅建業法48条3項)
また、この従業者名簿は、取引の関係者から請求があった場合には、
その閲覧に供しなければならない。(宅建業者は、48条4項)
なお宅建業者は、この従業者名簿を最終の記載をした日から10年間
保存しなければならない。
④「報酬額」の掲示
宅建業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に報酬の額を
掲示しなければならない。(宅建業法46条4項)
⑤「標識」の掲示
宅建業者は、事務所等及び事務所等以外の、施行規則で定めるその業務を
行う場所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければならない。
(宅建業法50条1項)
この標識は、「宅地建物取引業者票」ともいわれます。
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